BCP策定推進フォーラム2021開催レポート ~事例1~
女性活躍に向けた環境整備が我が社のBCP
~感染対策+テレワークで社員のモチベーションも向上~
株式会社ランクアップ 代表取締役 岩崎裕美子氏
私たちランクアップは、「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」という理念を掲げ、化粧品を製造販売しており、今ではアジアを中心とした世界に展開をはじめています。
そんな私たちは「一生活躍し続けたい女性が諦めなくていい社会」の実現を目指しています。その理由は、ランクアップを創業する前の前職時代にさかのぼります。ランクアップを創業する前、私は広告代理店の取締役営業本部長として毎日忙しく働いていました。小さな広告代理店でしたから長時間労働は当たり前。毎日終電まで働き、社員も使い捨てのような状態で、離職が止まらない状態でした。そんなある時、管理職が人を育てることに疲れて全員退職してしまったのです。「人がいなければ会社を発展させることができない」ことに気づき、長時間労働をやめようと、営業方法を変えてみたり、ノー残業デーを作ったりしましたがすぐに長時間労働をやめることはなかなかできませんでした。しかも社員は全員女性だったので、残業が多くて結婚も出産もできないことを理由にどんどん退職していました。私は当時35歳でしたが、私も同じ状況でした。もしも出産したら退職するしかありません。悩んだ末に私は、「女性でも一生活躍できる!そんな会社を作ってみせる!」と一念発起してランクアップを立ち上げたのです。
その結果、今私たちの会社では、出産しても働きやすい制度を導入しています。「時短勤務制度」は、子供が小学校3年生まで利用できます。「時間休」は、予定に合わせて1時間休、3時間休というように、有給を時間単位で取得できます。そのほか、自己負担300円でベビーシッターを使い放題という「病児ベビーシッター」制度や、ママと一緒に出社できる「子連れ出社」もコロナ前は人気がありました。このような制度のサポートもあって、私たちの会社では、産休・育休の取得率が100%、復帰率も100%です。本当にありがたいところです。
コロナ禍となってからは、すぐにテレワークを可能にし、社員全員が自宅で安心して働ける環境を作りました。現在は出勤してもしなくてもどちらでもOKという、本人が毎日、効果的な働き方を選択できるようにしました。午前中は在宅、午後は出勤するなどのハイブリッドな働き方も人気です。また、コロナ禍での満員電車を避けて出勤できる「時差出勤」制度も利用者が多いです。さらに朝5時から夜10時までに分割して8時間働ける「スーパーフレックス制度」や、パパや家族がいる土日に集中して働く「土日働いていいよ制度」では、休校・閉園時の子供の世話による欠勤を減らすことができ、効率的に仕事を進められるメリットがあります。
このように、子供が家にいても、少しでも集中して働ける工夫を会社が提供することは、働くママやパパが長期的に安心して働けますし、さらには離職を防ぐことにつながっていると思っています。
私は、新しい制度は「まずやってみる」という考え方で導入しています。会社の制度として就業規則に入れてしまう前に、まず運用してみる。うまく行けば継続し、あまり流行らなければ制度自体を廃止します。制度を入れることは会社としてもすごく大きな決断です。「将来、無い袖は振れないから、その制度を廃止しなければいけなくなるかもしれない」と不安に思う方もたくさんいらっしゃると思います。私も同じでした。大きな制度として運用する前に、まずやってみて、どのように社員が使ってくれるのか。改良できるポイントも見つかるので、とにかくまずやってみて、うまくいかなかったらすぐ止める。コロナ禍のように、いつどんな外部環境がやってくるか分からない、変化の激しい時代では、こうした柔軟さが必要だと思っています。
これから私は女性だけでなく、男性にとっても「活躍し続けたい人があきらめなくていい社会」を目指したいと思っています。活躍をあきらめない人を応援し続けたいです。