BCP策定推進フォーラム2019開催レポート ~パネルディスカッション③~
BCPの取り組み~災害対応の概要~
株式会社リリーフ(アネシスグループ) 執行本部長 前田 優氏
十数年改善を続けたBCP
熊本市に本社を置くアネシスグループは、主に新築戸建住宅事業を手がけており、私が在籍する2013年設立のリリーフという会社はその中でアフターサービスを担っております。
アネシスグループは1994年設立ですが、2004年の台風18号が襲来し、この後は私も修繕のため屋根に上りっぱなしでした。この時にこのままではいけないとなりまして、翌2005年に災害対策室を設置しました。その後も2012年には九州北部を豪雨が襲い、2015年に台風15号が襲来といった災害が起こりました。2016年1月に福岡支社を設立。その年の4月に熊本地震が起こったのですが、福岡支社を作っておいたおかげで、リスク分散できました。今年は内閣官房のレジリエンス認証の取得もしました。
熊本地震の対応をご紹介します。まず、九州は毎年台風が襲来する環境で、BCPに取り組まざるを得ません。とりわけ当社グループの戸建を購入していただいたオーナー対応に力を入れています。台風と地震では少し違いますが、BCPで決めた通り、組織での対応ができました。前震発生後、社員が集合し、オーナーに対し安否確認電話を実施。次の日からは全オーナー訪問し被害状況確認に取り掛かりました。約7割回っていたのですが、本震が来たため一からやり直しとなってしまいました。オーナー数は約2200棟。3日後に協力業者会を招集し、被害のあった家の緊急対応や応急処置の対応をしました。
防災訓練のほかオーナー訪問を平時業務に組み込んでいる他、発電機と井戸も用意しています。発電機は古くからあります。熊本地震では周りが停電しましたが、発電機があるとそこだけ明るく、人が集まってきた。みんな明かりあると安心するものです。また、熊本は湧き水が多いのですが地震では湧き水が出なくなったり、泥が混じったりしました。そこで今年、井戸を設置しました。食品や飲料水の他、ブルーシートなど住宅用資材も備蓄しています。本社以外に水前寺市の倉庫と福岡支社にも置いてリスク分散しています。
災害対応についてもう少し説明します。当社では引き渡し後、かつては年4回でしたが現在でも年2回オーナー訪問を一斉に行っています。引き渡し後もお付き合いを継続し、メンテナンスに生かします。オーナー宅に行って聞き込みをしていたことが、災害時の対応にも大いに役立ちました。災害対応マニュアルは毎年改善しています。十数年改善を続けたこともあり、末端の社員まで行き届いて、受け入れられるものを作ることができたと考えています。